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きぼーる便り

──サインも徹底されていますよね。初めてきぼーるに来た人も迷わないですね。

杉山さん:この建物では字の読めない子供から、目の見えない方まで多くの利用者がいます。ここでは各機能ごとにテーマカラーを選んでその色を辿って行くと目的の施設に行きつくことができないかと考えたわけです。そこで知覚障害用の誘導ブロックに目を付けました。ぼこぼこのやつに色をつけているんですよ。杖で、それを辿りながら行けるような床材です。例えばエントランスから青を辿っていったら、青いエレベーターがあって、降りたら青い壁があって科学館にいけるようになっている。黄色を辿っていけば、黄色いエレベーターがあって、11、12階の保健福祉センターへと直接行ける。受付で、「黄色の線を辿って行ってくださいね」と言われたら、字の見えない人や目が弱くなっている方でも、歩いて行けます。このサインとカラーのグラフィックデザインは宮崎桂さんに参加して頂いて色選びから床・壁のサインの配置まで一緒に苦労しました。この建物の大きなデザイン要素のひとつです。

──すごい配慮がなされていますね。

杉山さん:普段、デザイン的に負の要素になりそうなものを、どうやってデザイン化していこうかっていうことを考えていました。メディアアートも再開発の意味というものを、残したいと思い設置しています。

──そういえば体育館にも杉山さんのアイデアが満載だそうですね。

杉山さん:多目的というのが曲者なんです。壁に収納椅子が入っていて、可動座席がざーっと出てきて、講演会場にもなるようになるんですね。それを仕舞ったら、体育館になるんです。でも講演会は音が乱反射しないように吸音をやらなければならない。次に運動するとなると壁にぶつかって怪我しないように、壁自体がすごい丈夫な材料じゃなきゃいけないしけがをしないようにしなければいけないとかそういう話になります。で、その対策としてデニムで吸音効果のあるクッション材を作ったんです。椅子も全部デニム素材。建築にあまりデニム地使うことは無いですからね。でもね、ほら、子供たちの世代にとっては分かりやすいのかなと(笑)。

──きっと分かりやすいですね(笑)。

杉山さん:あとは、このアリーナの上の階からよく見えるところに、子供たちの遊具があるんです。少しずつ、年齢層によって階が違うように施設が配置されているんですね。そういう子たちが、視線で共有できるんです。自分も後何年か経ったらこの兄ちゃんたちみたいにここで遊ぶんだというのが、分かるんですね。

──面白いですね。今日は色々お話ありがとうございました!

(2007年8月)

杉山 俊一

昭和41年生まれ。株式会社日建設計、設計部門 設計室長。一級建築士。日本建築家協会会員。日本建築学会会員。1992年、株式会社日建設計に入社。秋田拠点センターアルヴェ(2004年完成、2006年日本建築学会東北支部東北建築賞作品奨励賞)、NHK新秋田放送会館(2007年完成)、早稲田大学西早稲田キャンパス14号館(1998年完成)などを手がける。